大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和58(あ)581 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人植松功の上告趣意のうち、死刑を定めた刑法の規定の違憲をいう点は、右

規定が憲法三六条に違反するものでないことは当裁判所の判例(昭和二二年(れ)

第一一九号同二三年三月一二日大法廷判決・刑集二巻三号一九一頁、昭和二六年(

れ)第二五一八号同三〇年四月六日大法廷判決・刑集九巻四号六六三頁)とすると

ころであるから、所論は理由がなく、その余は、事実誤認、量刑不当の主張であっ

て、適法な上告理由に当たらない。

なお、所論(弁護人古川祐士の当審弁論における陳述等を含む。)にかんがみ、

記録を検討しても、原判決の強姦致死、殺人に関する事実認定に誤りは認められな

い。また、本件各犯行のうち、強姦致死、殺人の所為は、農作業中の農家の主婦を

強姦目的で襲い、抵抗されるやその頸部を手で強圧し、かつ、短刀様の鋭利な刃物

で同女の胸部、腹部などを多数回にわたり滅多突きにし、あるいは切りつけるなど

して殺害したものであって、犯行の態様は執拗かつ残虐であり、動機にも酌量の余

地はなく、加えて、被告人には、強盗殺人の罪等で懲役五年以上一〇年以下の刑に

処せられた前科があり、本件各犯行は右刑の執行終了後わずか三か月にして敢行さ

れたものであるうえ、遺族の被害感情は深刻であり、社会に与えた影響も軽視し難

いことなどに照らすと、本件各犯行は周到な計画に基づくものとはいえないこと、

右前科は少年時代の犯行によるものであること、その他被告人の生育歴、資質など

被告人の利益に斟酌すべき一切の事情を考慮しても、その罪責はまことに重く、被

告人を極刑に処した原判決の量刑が不当であるとは認められない。

よって、刑訴法四一四条、三九六条、一八一条一項但書により、裁判官全員一致

の意見で、主文のとおり判決する。

- 1 -

検察官渡邊正之 公判出席

平成二年四月三日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 安 岡 滿 彦

裁判官 坂 上 壽 夫

裁判官 貞 家 克 己

裁判官 園 部 逸 夫

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!